スタップ 細胞 は ある のか。 STAP〈スタップ〉細胞って、捏造だったのですか?

いまだ根強い「STAP細胞が本当はあった!」説がやっぱりおかしいこれだけの理由

スタップ 細胞 は ある のか

公開日: 2014年04月29日 いわゆる「小保方問題」でああだこうだともめているうち、アメリカの某氏がある日(今日にでも)突然、分化した体細胞を外部刺激によって万能化させたと発表する。 論文の体裁も万全。 もちろん名前は「STAP」ではない……。 何だかそんなニュースが近日中に駆けめぐりそうでやきもきします。 直後から論文の体裁などに対する疑義がネット上などで示され、理研は最終報告書で「論文には改ざんと捏造があった」としました。 改ざんとは「変造」で、捏造とは「でっち上げ」です。 これに対して小保方氏は2014年4月、会見を開いて以下のような発言をしました。 画像の「改ざん」……2枚の写真を1枚に切り貼りして発表。 小保方氏は、切り貼りはみとめたものの、「見やすくするため」で、訂正の原稿はすでに「ネイチャー」に送り「得られる結果は変わらない」とした。 画像の「捏造」……「博士論文のものと取り違えた」と釈明。 真正の元データは「ある」ものの発表前にそこへ「たどらなかった」と「反省」した。 ここから小保方氏は、指摘はあくまで「過失であって悪意はない」という論法を用いました。 しかし「切り貼り」と「取り違え」だけで論文としてはアウトです。 たとえ過失であっても許されません。 ある事実を論としてまとめる際に、実質的要件の前に形式的要件があります。 いくら実質が正しくても形式が満たされていなければ普通は門前払いです。 大して難しい話ではありません。 法律婚をしたといっても婚姻届に変造やでっち上げがあっては、2人が心から愛し合っていても認められないというのと同じです。 ある意味で科学はウソ八百の歴史でした。 生命科学の分野でも2004年、ヒト体細胞に由来するES細胞(万能細胞の一種)作成に成功したと、韓国の学者が科学誌「サイエンス」に発表、後に捏造とわかりました。 デタラメもまじるなかから、まともな研究をすくい上げるため、長い時間をかけてルール(形式)を作って、それに従おうという合意を得てきた過去の反省があります。 それすら満たせないのであれば「全く信用できない」となって当然です。 ところで小保方さんも韓国の学者も博士号まで取った立派な経歴の持ち主です。 それがなぜこうした初歩的なミスを犯すのでしょう。 というのも「改ざん」や「捏造」でなくても、そうと疑われるような記載や画像があれば、学部レベルの卒業論文でさえ指導教員から罵詈雑言を浴びせられるはずだからです。 でも決定的な一手が足りない。 具体的には理研という組織です。 天文学者ケプラーは惑星の楕円軌道を唱えたので有名ですが、おそらくその根拠は星占いだったと考えられます。 錬金術師の試みはすべて失敗に終わりましたが「化学」という学問を成立させてしまいました。 多くの追試に成功し「事実」となっている山中伸弥氏のiPS細胞も、これまで「分化した細胞を万能細胞には戻せない」(初期化できない)という通説を引っ繰り返しました。 今でこそ不動の評価を得ているiPS細胞も、発表の少し前に先に述べた韓国人学者の捏造事件があったので、当初は「どうよ?」といぶかる声もあったのです。 正しく科学的な研究によって「定説」となっていた論を覆すという事例は自然科学や社会科学にも見られます。 「旧石器時代の日本に人類は存在しない」との定説は、無名の考古学マニアの相沢忠洋氏が覆しています。 小保方論文の功績をあえて挙げれば、信じ込んできた「動物体細胞が外部刺激によって万能化しない」を覆そうとした点です。 植物体細胞にその能力があるのは周知の通り。 「考えてみれば動物にないともいい切れないな、考えてみればガン細胞は体細胞が外部刺激で変異したものであるし……」と多くの科学者へヒントを与えた点です。 いったんそうとわかればハイレベルの研究者が小保方論文を参考にしなくても、実験ノートの記載がいい加減でも、ゼロから、あるいはそういう方法でしかわからない小保方論文の優れた個所を足がかりにして冒頭のような大発見ができるかもしれません。 理研と小保方氏は、雇い雇われの関係と意見の対立という奇妙な共依存に陥りつつあります。 小保方さんは「200回以上成功した」というならば、本人の希望通り理研以外の研究室で公開で作製させてあげればいい。 論文はいったん撤回しましょう。 そもそも「ネイチャー」や「サイエンス」に掲載された「だけ」で事実のように扱ったマスコミも悪いのです。 論文発表はスタートに過ぎず、そこから論争を経て事実に至るのだから。 「200回以上成功した」以上、今までのデータは信用されないのでまっさらな状態から今度こそ欠点のない論文を書いてもいいでしょう。 先に紹介した相沢忠洋氏は真正の発見だったにもかかわらず、学歴のなさなども手伝って功績をなかなか認められませんでした。 それでも地道に活動を続け、最後には正当な評価を得ています。 小保方氏はまだ30歳。 ご本人がいう「未熟」という言葉がまだ許される若さでしょう。 理研も小保方論文の共著者らが約1年かけて論文にある手法で検証し確認するとまどろこしい発表をしていますが、仮に理研で成功しても小保方さんの「200回以上成功した」以上の信用を得られるでしょうか。 フェードアウトの時間稼ぎと邪推されても仕方ありません。

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STAP細胞はありません!Muse細胞はあります!

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刺激惹起 じゃっき 性多能性獲得 Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency の。 Nature 2014年1月30日号に掲載された 細胞リプログラミング研究ユニットリーダー らによる2編のによって発表された。 哺乳類 ほにゅうるい の体細胞に外部から刺激を与えるだけで、未分化で多能性を有するSTAP細胞に変化するというもの。 これまで発見された 胚性幹細胞 や 人工多能性幹細胞 といった多能性細胞と比較して法が格段に容易であり、またこれらの細胞にはない胎盤への分化能をも有することで、今後、等への貢献の可能性が大きいと期待された。 しかし、論文の発表直後から、追試実験が成功しないことや論文の記載に多くの不備があることがされ、3月現在、理化学研究所によって論文に研究があったかどうかの内部調査が進行している。 STAP細胞の存在もまだ証明されていない。 論文は三つの部分から成り立つ。 まずSTAP細胞の作製法についてで、論文によれば、生後間もないの脾臓 ひぞう から取り出したT細胞 リンパ球の を、弱性のに約30分浸した後に培養すると、生き残った細胞の一部が直径約5マイクロメートルほどに小さくなり、1週間で多能性を持つ未分化細胞に変化する。 これがSTAP細胞と命名された。 T細胞が使われたのは、その核内では分化の過程で遺伝子の再編成が起こるため、遺伝子を調べることでT細胞由来の細胞であるとの指標になるからだ。 元々脾臓の中にある未分化細胞が選別されたのではないと論文は述べている。 この細胞をマウスの皮下にすると、皮膚や筋肉の組織ができたことから、多能性があるとされているが、証拠となる写真は小保方の学位論文に使われた別の研究によるものの転用と判明した。 T細胞由来であることを示す遺伝子の解析データにもが認められた。 二つ目の部分は、細胞の多能性を証明するため、世界で初めて体細胞クローンマウスを作製したことで知られ、当時は理化学研究所発生・再生科学総合研究センターに所属していた若山照彦・山梨大学教授が実験を行った。 蛍光色素で標識したSTAP細胞をマウスのに導入し、子宮内に戻すと、生まれてきたキメラマウスには蛍光を発する細胞が全身の組織で見いだされた。 三つ目は、STAP細胞から多能性と増殖を持つ「STAP幹細胞」を作製する方法に関してで、再生医療への応用には必須の研究である。 しかし、論文の共著者らが行った二つ目、三つ目の研究に小保方が提供した細胞には、T細胞由来であることを示す遺伝子再編の証拠がなく、論文の初めに示されたSTAP細胞とは異なる。 このことは、理化学研究所が3月5日に公表したSTAP細胞の作製に関する実験手技解説によって、初めて明らかになった。 若山は「信じていた研究のデータに重大な問題が見つかり、STAP細胞が本当に出来たのかどうか確信がなくなった」とし、他の共著者らに論文の取り下げを呼びかけている。 葛西奈津子 フリーランスライター / 2014年 出典 株 朝日新聞出版発行「知恵蔵」 知恵蔵について の解説 新たなとして平成26年(2014)1月にの研究者らが発表した細胞の。 発表直後から数々の疑義が指摘され、有識者による調査の結果、同年12月に同細胞の存在は否定された。 [補説]STAPは、Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency (刺激惹起性多能性獲得)の略。 動物のを弱酸性の溶液に浸すなどの簡単な方法でし、のようにあらゆる細胞にする能力を獲得させることができるというもので、注目を浴びた。 しかし、論文発表者が行った検証実験でも同細胞は再現されなかった。 STAP細胞とされたものは、別の細胞であるからつくられた可能性が高いとされる。 出典 デジタル大辞泉について の解説 刺激惹起 じゃっき 性多能性獲得細胞(Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency cells)の称。 動物の体細胞に外的なストレス(刺激)を与えて分化多能性を獲得させた細胞,刺激惹起性多能獲得現象(STAP現象)から得られた細胞という意味で,STAP細胞と名付けられ,小保方 おぼかた 晴子(当時)らが発見,作製したとして小保方を代表とする共同研究者らの論文が2014年1月《》誌に掲載された。 小保方ら理化学研究所が発表した新しい万能細胞(STAP細胞)はすでに発見されたやなどの多能性細胞に比べて格段に作製法が容易で,また胎盤への分化能をも持っているとされ,今後のへの画期的な貢献が期待されるとした。 この発見はこれまでの生物学の常識を覆すものとされ,世界に大きなインパクトを与えた。 しかし,論文掲載直後から,追試実験がすべて成功しないことや論文の記述や記載データに不備・不正疑惑があることが次々と指摘され,さらに共同研究者の中から論文撤回の呼びかけが表明されるなど,事態は急転した。 理化学研究所は調査委員会を設置し,論文に研究不正があったかどうかの調査を開始し,2014年4月調査最終報告を発表,二項目について,〈ねつ造,改ざんや悪意による研究不正に該当する〉とした。 一つは画像データに明らかに切り貼りが認められるという点であり,もう一つは,STAP細胞論文に小保方の博士論文で使用されている別の実験で得られた画像が流用されているという点である。 さらには,共同研究者であり,すでに世界的な名声を得ている研究者でもある笹井芳樹(当時理化学研究所,発生・再生科学総合研究センター),若山照彦(山梨大学)について,研究不正は認められないが,シニアの研究者としてデータの正当性・正確性について確認することなく論文投稿に至った責任は重大,と指摘した。 また理化学研究所として,STAP現象の検証作業を理事長主導で実施すると発表した。 調査委員会の研究不正の認定に対して小保方側は不服申立し再調査を求めたが,5月理化学研究所・調査委員会はこれを却けた。 理化学研究所は懲戒委員会を設置し小保方をはじめ関係者の処分の検討に入った。 〈世紀の大発見〉は,一転して〈未熟な研究者〉のデータ・コピー&ペースト問題という研究スキャンダルに転落したかたちとなった。 8月,笹井芳樹が研究センター構内で自殺,世界の科学界に衝撃を与えた。 日本の科学技術開発の基幹を担ってきた理化学研究所で起こった研究不正疑惑であることは深刻かつ重大で,問題の背景にある,日本の科学者の倫理教育の欠如,効率を競う若手研究者の過当競争,特許と研究資金を巡る研究機関同士の熾烈な競争,先端科学の成果を一刻も早く成長戦略に組み込もうとする国家等,現代日本のサイエンス研究のありかたが根本的に問われる事態となった。 2014年4月以降,理化学研究所はSTAP現象の検証チームを立ち上げ,STAP現象の再現を試みた。 また,7月からはこれとは別に小保方にも単独での検証実験を実施させたが,2014年12月,理化学研究所は,検証チーム・小保方のいずれもSTAP現象を再現できなかったとし,実験打ち切りを発表した。 2015年2月,理化学研究所はSTAP細胞をめぐる研究不正問題に関する処分として,小保方晴子を〈懲戒解雇相当〉(2014年12月に依願退職),若山照彦を〈出勤停止相当〉と発表した。 出典 株式会社平凡社 百科事典マイペディアについて の解説 あらゆる細胞に分化させることができる「万能細胞」の一種で、STAPはStimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency 刺激惹起性多能性獲得 の略称。 2014年1月30日、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子研究ユニットリーダーなどのグループが、マウスの細胞での作製に成功したとの科学誌「Nature」に発表した。 万能細胞は皮膚・などの移植に関わる再生医療他の分野において大きな注目を集めており、これまで「ES細胞」やさらに進化した「iPS細胞」の作製がなされてきた。 STAP細胞は、細胞を弱酸性の溶液に30分ほど浸すことで刺激を与え、それを培養することにより作られ、iPS細胞の作製に必要な遺伝子注入を必要としない。 そのため、より短時間で効率的に作ることができ、細胞がガン化する可能性も低くなると考えられている。 2014-1-31 出典 知恵蔵miniについて.

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STAP細胞問題(すたっぷさいぼうもんだい)とは

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STAP細胞に振り回されて STAP細胞問題とはいったい何だったのか? 「事件」ともいえるこの問題にはあまりにも多くの側面があり、一言で表現するのは不可能である。 しかしながら、現時点で1つはっきりしていることは、小保方晴子氏だけでなく理化学研究所(以下、理研)幹部を含む当事者たちは、科学という営みの前提であるはずの「信頼」を内部から崩壊させたということであろう。 この問題のおかげで2014年は、最初から最後までSTAP細胞に振り回された年だった。 その余波は2015年のいまも続いている。 それを考えるために原著論文を手に入れ、解説記事なども参照しつつ、辞書を引きながら少しずつ読み始めていたところ、ネット上で研究不正の疑惑が流れ始め、それらと原著論文を照らし合わせるのがやっとという状態になってしまい、ELSIどころではなくなってしまった。 筆者は同年4月9日に開かれた小保方氏の記者会見をインターネット経由で傍聴し、その論評をニュースサイト「THE PAGE」に寄稿して以降、この問題について取材・執筆を続けてきた。 東京で開かれた記者会見のほとんどに足を運び、その都度、論評記事を書いてきた。 それらを振り返ると、ほとんど最初から最後まで、自分は似たようなことを書き続けてきたことがわかる。 それは、理化学研究所(理研)は研究不正を起こしてしまったこと以上に、事後対応の手順を踏み間違えてきたということだ。 そのことがまさに科学という営みの前提であるはずの信頼(科学者どうしの信頼、日本を代表する研究機関に対する一般社会の信頼)を内部から崩壊させたのだ。 事後対応次第では、理研への批判はここまで広がらなかったとも思う。 本稿ではその経緯を把握し直すことを通じて、科学関係者のみならず、一般国民にとっても、今後、科学をめぐる事件を冷静に見つめるうえで役立つヒントを提供してみる(なお筆者がこれまで「THE PAGE」などに書いてきたものと内容的に重複があることをご了承されたい)。 「研究不正」と「再現性」 STAP細胞問題が発覚した当初から今日まで、マスコミでも世間でも「STAP細胞はあるのか? それともないのか?」という問われ方がされ続けてきたが、この問い方自体が混乱を招いてきたようにも思われる。 この問題はそもそも、小保方氏らが論文において「研究不正」、つまりデータのでっち上げである「捏造」や、データの不適切な操作である「改ざん」、他人のデータなどを不適切に使用する「盗用」などを行った疑いをもたれたことから始まったはずである。 それを明らかにするためには、論文と実験そのものについて徹底的に調査するしかない。 関係者への聞き取りはもちろん、研究ノートなどの精査、残されたサンプルやオリジナルデータ(生データ)の分析などが不可欠であり、最優先すべきであった。 その一方で、ほかの研究者たちが小保方氏らの論文に書かれていることと同じ実験、つまり「追試」をしてみても、同じ結果が出ないことも問題になった。 すなわち「再現性」がないことが疑われたのである。 当初浮かび上がった疑問をやや強引に整理すると、以下の2点にまとめられる。 1 2014年1月30日に科学誌『ネイチャー』で発表された論文2本に、どれだけの「研究不正(捏造・改ざん・盗用)」があったのか?(=「研究不正の有無」の問題) 2 その論文に書かれている方法で、第三者が「STAP細胞」なる多能性細胞(いわゆる万能細胞)を再現することができるか?(=「再現性の有無」の問題) この2つの疑問は、基本的には別の問題なので、別々に追及されるべきである。 したがって、小保方氏らの『ネイチャー』論文の評価は、以下の表組のように4通りの可能性があったはずである(これは科学論文一般に対する評価にも通じる)。 その場合、科学的な批判の対象になっても、社会的な批難や制裁の対象にまではならないだろう。 ただし一般論としては、このような実例は少ないようにも思われる。 論文に研究不正がなくても、再現することができなければ、その論文に科学としての価値はない。 研究不正があるのならば、それが見つかった時点で、再現性の有無には関係なく、社会的な批難や制裁の対象になる。 仮に再現することができたとしても、そのことで見つかった研究不正が許されるわけではない。 再現できなければ、論文に何らかの欠陥があることになり、その欠陥が研究不正に起因するものである可能性が生じる。 しかし研究不正以外の理由で再現できない可能性も残る。 理研はこの騒動の間ずっと、再現性の有無にこだわり続け、研究不正の有無を軽視してきたように見える。 まるで再現性さえ確認できれば、少々の研究不正など「間違いだった」といえばごまかせるかのように。 研究不正と再現性の問題は、生命科学研究の本場であり、小保方氏が留学していたアメリカでも、厳しく問われ続けている。 学術雑誌で一度は公表された論文が「撤回」される場合、その多くは意図的ではないミスによるものだと信じられている。 しかしある研究者らが、医学・生命科学系の論文データベース「パブメド(PubMed)」に登録され、そして撤回されたとされる論文2047本を調査したところ、ミスによる撤回はわずか21. それに対して、全撤回のうち67. その内訳は「虚偽」または「虚偽が疑われる」ものが43. 17028-17033, 2012)。 しかもそうした論文が数多く掲載された雑誌トップ10には、小保方氏らの論文が載った『ネイチャー』やそのライバル誌『サイエンス』、そしてその調査報告を2012年に掲載した『米国アカデミー紀要』も含まれている。 『ネイチャー』のニュース欄もそれを報じた( Nature 490 7418 , p. 21, 04 October 2012)。 一方、世界的なゲノム学者であり、NIH(国立衛生研究所)所長のフランシス・コリンズらは「科学的な不正によって再現性が損なわれているという証拠はない」と指摘する。 彼によれば、「2011年に保健福祉省の研究公正局が追及した不正はわずか12例だった」とのことである( Nature 505 7485 , pp. 612-613, 30 January 2014)。 しかし彼はそのうえで前臨床研究、いわゆる動物実験研究で、論文通りに実験しても論文通りの結果が出ない、という問題が多発していることを認め、NIHがその改善に取り組むことを表明している。 そして「NIHの努力だけでは、このような不健全な環境を現実的に変化させるには不十分だろう」とコリンズは強調する。 科学コミュニティ全体で努力しないと、こうした改善の試みは成功しない、ということだ。 コリンズが引いた「研究公正局」とは、科学研究における不正行為などを監視する政府機関である。 日本でも、研究公正局に相当する機関を設立せよ、との声がある。 しかし、アメリカでも研究不正が多発している現状を見る限り、研究公正局を含む同国のやり方が最善であるとはいい難い。 このように研究不正と再現性が世界的に大問題となっている真っ最中に、日本を代表する研究機関である理研で、STAP細胞問題が起きたのである。 重要なことを繰り返しておくと、コリンズが「科学的な不正によって再現性が損なわれているという証拠はない」というように、「研究不正の有無」と「再現性の有無」とは、本質的に異なることである。 研究不正の発覚は、ほかの研究者による追試がうまくいかなくて、そのために論文における不正が疑われるようになったことがきっかけだった、という場合も多いだろう。 一方で、追試とはあまり関係なく、厳しい同業者たちが論文を精読することで、疑惑が浮かび上がる、やがて発覚する、ということもあるはずだ。 STAP細胞問題の場合、論文発表(1月30日)からわずか6日後の2月5日、科学者たちの情報交換サイト「Pubpeer」で、匿名の投稿者が、論文のある写真が切り貼りされている可能性を指摘したことが疑惑の始まりだった。 このような場合、物事の順序からいえば、まず「不正の有無」を調べるべきではないか? その結果、論文に「不正はない」ことがはっきりしたならば、あらためて「再現性の有無」を確かめるために追試=再現実験を行なうことには意味があるかもしれない。 しかし、もし1点でも「不正がある」ことがわかったならば、追試など不要である。 【次ページにつづく】.

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